育児は一人では出来ない 社会で担うもの💕

新聞記事から

「育児は一人では出来ない 社会です担うもの」

          甲南大学教授 高石恭子

 

「母性本能があるから子どもを愛せるはずだ」という神話に、いまだに多くの人がとらわれています。いいお母さんでなければ、という気持ちが、「子育てがつらい」と声を上げにくくしているのでは、と思います。子育ては一人でできる営みではなく社会で担うものだということを再確認することが必要です。自分が頑張れば何とかなるはずという考え方は受験や仕事で成果を出すには有効でも、子育てにはむしろマイナスです。英国の小児科医ウィニコットは、子どもの健やかな成長に必要なのは、完璧な母親ではなく「ほどよい母親」だと言っています。最初はわが子と一体になり子育てに没入するけれども、発達に応じて少しずつ距離をおく。何もかも応えてくれるわけではない母親に小さく失望することを繰り返しながら子どもは我慢したり、もっと広い世界に自らの欲求を満たせるよう働きかけたりするのです。親子がお互いを尊重し、うまく離れていくためにも、母親以外の複数の人が子育てに加わることが重要です。今しんどい人は、感情を抑え込まず、話して欲しい。誰かから誰かにつながって、解決に向かうこともあります。

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